「マルチタスク(仕事の同時進行)が苦手で、漏れや遅れが出てしまう」
「やることが多すぎて、あれもこれもやらないと、と思っているだけで疲弊してしまう」
そんな経験はありませんか?
実はこれ、HSPの方は特によく当てはまる悩みです。
多くのHSPの方がマルチタスクに苦手意識を持ち、非HSPの方と同じ仕事をこなすのにより多くの時間がかかると感じたり、長時間労働になったり、休日も仕事のことが頭から離れず焦燥感に苦しんでいたりします。
ですが、実はこの悩みには、今日から誰でも実践できる3つの対処法があります。
それは、「ToDoリストの作成」「優先順位付け」「意識のシングルタスク化」です。
なぜなら、最も大切なのは、「思考の暴走を止めること」だからです。
細かなことによく気がつくHSPにとって、「思考の暴走」は不安を増幅させ、心のエネルギーを消耗し、時間まで奪ってしまいます。
これを止めるのに有効なのが 「カレンダーでのタスク管理」 「優先順位付け」 「意識のシングルタスク化」 というわけです。
私はこのことに気付けず、激務の会社に努めていたときに心身のエネルギー切れを起こして、ある日会社に行くことができなくなりました。
ですが、この技術を身につけてからは明らかにON/OFFの切り替えがうまくなり、特に休日は仕事のストレスから開放され、エネルギー切れを起こす頻度が格段に減りました。
この記事では、 「思考の暴走」を止める の3つの対処法について具体的な実践方法をお伝えします。
この記事を読めば、マルチタスクの処理能力が上がるだけでなく、仕事中・休日を問わず、感じるストレスを半減させることができるはずです。
結論は、 「カレンダーアプリでのタスク管理」で手持ちの仕事をすべて見える化し、 「優先順位付け」 によってどの順番で処理していくかを決め、「意識のシングルタスク化」 によって他の仕事は一切考えずに一つ一つの仕事を集中して終わらせる、ということです。
では、詳しく説明していきましょう。
「マルチタスクが苦手」と感じる理由
特にHSPの方は、一つの仕事をすすめる上でも実に様々なことに思いを巡らせます。
「そういえばあの仕事にまだ手をつけられていなかった…。
締切が月末だから今から手を付けても間に合うか厳しいな…先に上司に現状を報告しておいたほうが…。
いや待てよ、でもまずは少し手をつけて締切に間に合うかどうか精査したほうがいいか…。
あ、でも進め方に迷ってまず○○さんに相談しようと思ってたんだった。
○○さんの予定開いてるかな…こんなギリギリで相談したら怒られるかな…」
こんな調子で数珠つなぎに思考の連鎖が起こりると際限がありません。
そして、こうして考えている間にも時間は刻々と過ぎていき、仕事は進んでいないのに疲れてしまい、長時間労働にもなりがちです。
この背景にあるのは、「思考の暴走」です。
一つの仕事から派生するように様々なことに気がつき、想像し、不安が生まれ、また新たなことに気づく。
HSPの方は対人面での想像力も豊かなので、人とのやり取りを想像しただけで感情的にも疲弊してしまいます。
対処法①「カレンダーアプリでのタスク管理」
「思考の暴走」を防ぐためにお勧めする対処法の一つ目が「カレンダーアプリでのタスク管理」です。
ポイントは3つあります。
今すぐやらない仕事は、すぐにカレンダーアプリに予定を入れる
私はOutlookを使っていますが、「5分以内に処理できるような仕事はその場で終わらせる」というマイルールを設けています。
逆に、処理するのに5分以上かかる仕事はその場で「いつ着手するか」「どれくらい時間がかかりそうか」を仮決めし、未来日付のカレンダーに予定を入れてしまいます。
この2つを徹底することで、まずは「タスクの漏れ」を防ぐことができます。
予定をジャンル別に色分けする
カレンダーに予定を入れる際は、「今日締切のものはピンク」「会議は青」などとルールを決めて予定を色分けしておきます。
タスクの種類や緊急度が色でわかると、「来週の月曜日は重要な予定が多いな」などと視覚的に未来の予定を把握でき、安心感につながります。
大きめのタスクは分解して複数の予定に分ける
また、「●●プロジェクトの検討」といった少し粒度の大きなタスクであれば、予定表の詳細ウインドウなどに細かくタスクを分解しておくか、分解した細かいタスクを予定表に入れておくのもポイントです。
あまりにタスクの粒度が大きいと、せっかくカレンダーに予定を入れてもいざ着手するときに「何から手をつければいいんだっけ・・」と考えるところからのスタートになり時間を食うだけでなく、最悪の場合、薄々そのタスクの大きさに気づいているがゆえに予定を後ろ倒し(先延ばし)にしてしまうこともあります。
予定表は、「今すぐ手を付けられるレベル」まで細かくタスク分解しておくのを基本にしてみてください。
「PCに記憶を置いてくる」のがポイント
以上の方法の良いところは、カレンダーを見るだけですべてのタスクとその種別、所要時間、いつ頃手をつければ良いかが一目でわかることです。
そして何より、頭の中でグルグル考えてしまう内容をすべてカレンダーというサブ記憶装置に「置いてくる」ことができるので、仕事のON /OFFの切り替えが自然と上手くなります。
ToDoリストはお勧めしない
似た手法として「To Doリストの作成」もよく挙げられますが、私はあまりお勧めしません。
To Doリストには視覚的にパッとわかる時間軸がないので、繊細で几帳面なHSPは「こんなにたくさんやらなきゃいけないことがある」とToDoの多さに圧倒されてしまったり、ToDoリストの管理そのものに時間がかかってしまうからです。
対処法②「優先順位付け」
日々カレンダーアプリに予定表を入力したら、次にやるのがタスクの「優先順位付け」です。
①で仮決めした予定表を眺め、毎朝仕事を始める前に当日の予定表を重要度順に並び替えていきます。
私は毎日仕事を終えるときに少なくとも翌日の予定表の優先順位付けまでは終わらせるようにして、不安の軽減に努めています。
そして、翌日仕事を始めるときは、前日に立てた予定表を変更する必要がないかのチェックから入ります。
優先順位付けのポイントは3つです。
- 基本的には締切の早い順に処理する
- 大きな仕事は細かいタスクに分解し、一歩目のタスクを早めに処理する
- 気の重い仕事、エネルギーを要する仕事は午前中に入れる
注意すべきなのは、「タスクの管理」そのものに時間を取られないようにすることです。
優先順位を考えること自体は大切ですが、「この仕事は人に任せる」と自分から切り離したり、「何の成果にもつながらない仕事だな」とやらない判断をしたり、管理すべきタスクそのものを減らすことも大切です。
対処法③「意識のシングルタスク化」
カレンダーアプリでのタスク管理、優先順位付けまで終わったら、あとは目の前の一つの仕事にひたすら集中します。
注意点はひとつだけ。目の前の仕事に集中するあまり、深掘りし過ぎて予定時間を大幅に超えないようにすることです。
一つ一つの物事を掘り下げて考えられるのは強みである一方、すべての仕事にその特性を発揮するとエネルギー切れを起こしてしまいます。
重要な仕事・場面で掘り下げ力を発揮できるよう、出し惜しみ(=コントロール)をするのがポイントです。
また、途中で他のことが気になったり誰かに話しかけられたりしても、よほど重要な事柄でない限り、まずは目の前の仕事を片付けることに集中しましょう。
「思考の数珠つなぎ」癖によって気になったことに都度対応していくと、「あれ?なんの仕事してたっけ?」と当初処理する予定だった仕事から意識が離れてしまうからです。
まとめ
「マルチタスク」といっても、実際の仕事では膨大なシングルタスクを一つ一つ地道に処理していくことの連続です。
マルチタスクが得意な人は、複数のテーマの仕事について、細かくタスク分解をし、優先順位をつけて、一つ一つを素早く処理することに長けているに過ぎません。
繰り返しになりますが、色々なことに気づいて意識が分散してしまうHSPにとって大切なのは「思考の暴走」を止めること。
今日はそのためのヒントを3つ紹介しました。
頭の中の思考を見える化し、優先順位順に並べ、明日の仕事はPCの中にすべて置いてきてしまいましょう。
ではでは今日はこのへんで。
またね。